フリーランスのCOBOL求人案件の種類と市場動向

フリーランスのCOBOL求人案件の種類と市場動向

COBOL

目次

    近年、IT業界におけるフリーランスの市場は拡大傾向にあり、この要因は、リモートワークが普及したことにより場所にとらわれない働き方が一般的になったこと、ユーザー企業のDX化によるICT技術の需要、そして多様な働き方への社会的な傾向などがあります。

     

    そのような背景の中で、フリーランスの需要として求められているのが、古くから存在し、堅実なプログラミング言語であるCOBOLの案件です。

     

    COBOLを操ることができるフリーランスは一定の需要がある中で、年々その技術者は減少傾向にあり、その理由や市場動向を探ることで、今後のキャリアパスを見つめ直す新たな視点が得られるでしょう。

     

    本記事では、COBOLの特性とその魅力、フリーランスとしてのCOBOLを活用した仕事内容、市場動向、そしてキャリアパスとスキルアップ方法について説明します。

     

    また、後半ではCOBOL開発のトレンドと将来展望についても触れていきます。

     

    フリーランスのCOBOL求人案件の動向

     

    COBOLは、1959年に登場したプログラミング言語で、その可読性の高さと堅牢さから、金融機関や公的機関で広く使われています。

     

    しかし、COBOLを扱えるエンジニアは年々減少傾向にあり、それに反して、銀行を始めとした事務系のシステムでは現在も多くの重要なシステムがCOBOLで作られているため、これらのシステムの保守や改良を行うニーズは現代も数多く存在しています。

     

    COBOLを操るフリーランスエンジニアが減少している理由の一つは、新しいプログラミング言語の中には、使いやすさや多機能性を前面に打ち出したものが多く、新進のプログラマーたちが学びを深める技術としてCOBOLが選ばれにくくなったことが挙げられます。

     

    それにより、新世代のエンジニアがCOBOLを学ぶ機会は減少し、結果的にCOBOLを操るフリーランスエンジニアの数が少なくなっていると言えます。

     

    こうした背景の中でも、既存のCOBOLシステムの保守・改良ニーズは一定数の案件があり、COBOLを知るエンジニアが少ないため、案件の需要と供給のバランスから見ても、COBOLエンジニアの報酬は高まる傾向にあります。

     

    そのため、フリーランスのCOBOLエンジニアの市場環境は穴場という見方もでき、一度案件に参画すれば稼働期間が長く、安定した収入が見込めるため、COBOLのエンジニアが少なくなったことは逆にフリーランスのチャンスでしょう。

     

    COBOLの基礎知識

     

    COBOLはCommon Business Oriented Languageの略で、その名の通りビジネス処理を主眼に設計された言語です。

     

     COBOLの大きな特徴として、コードが英語的な文法で書かれており、人間が理解しやすいため、「自然言語に近いプログラミング言語」である点が挙げられます。

     

    また、COBOLは堅牢性が求められる大規模業務システムに多く採用されており、ファイル処理能力の高さや、大量のデータを扱うことが可能な点も特筆すべき特徴です。

     

    新たにCOBOLを学ぶためには初心者でも取り組みやすい「GnuCOBOL」というオープンソースのコンパイラがあります。

    GnuCOBOLを利用することで、自分のパソコン上でCOBOLのコードを実行することが可能となります。

     

    この次の章では、COBOL案件の具体的な種類や相場、そしてCOBOL開発のキャリアパスについて解説していきます。

     

    フリーランスのCOBOL求人案件の種類

     

    COBOLの案件はその堅実な特性から、主に銀行、保険会社、証券会社での活用が多い傾向にあります。

     

    以下に代表的なCOBOLの求人案件を紹介します。

     

    既存システムの保守・運用

     

    COBOLの求人案件で最も多いのは、既存システムの保守・運用です。

     

    今もなお多くの金融企業や公的機関がCOBOLがメインで作られた旧来のシステムを運用しているため、これらのシステムを維持し、改良するエンジニアは常に必要とされています。

     

    リプレース案件

     

    既存システムのリプレース案件も存在しており、新しい言語やフレームワークへの移行作業が行われます。

     

    リプレース案件では、COBOLの知識だけでなく、新しいプログラミング言語についても理解が求められるため、類似したCOBOLの移行プロジェクトで活躍するチャンスが広がるでしょう。

     

    大規模業務システム開発案件

     

    金融機関や保険会社などの大規模な業務システム開発案件では、COBOLの需要の一環として存在します。

     

    これらの案件では、COBOLを使用して高度なデータ処理や業務ルールの実装が求められます。

     

    レガシーシステムの改修・最適化案件

     

    業務系のレガシーシステムのバッチファイルには、C言語やProC、COBOLなどが多く活用されており、業務システムへの機能追加や改善でCOBOLの技術者が求められています。

     

    これらの案件では、既存のCOBOLコードの見直しや効率化を行い、システムの信頼性やパフォーマンスを向上させる作業が行われます。

     

    フリーランスのCOBOL求人案件の相場、案件例

     

    COBOLのフリーランスエンジニアの相場は、経験やスキル、案件の内容によりますが、一般的には他のプログラミング言語と比べて高めの価格設定となっています。

     

    これは前述の通り、COBOLを理解し、使いこなすことができるエンジニアが減ってきているため、その需要と供給のバランスが価格を押し上げています。

     

    例えば、経験年数が5年以上であれば、月額単価平均75~100万円が相場となっており、経験年数4年でも60~75万円と高めの傾向があります。

     

    もちろんCOBOLのスキル以外にも、上流工程の経験があったり、COBOL以外のプログラミング言語のスキルがあれば、契約条件はさらに交渉ができるでしょう。

     

    テックバレーでは特に、COBOLからJavaへのリプレース案件が多く、月額単価は60〜70万円が相場です。

     

    以下にテックバレーに掲載されている主な案件例を紹介します。(2023年6月時点)

     

    銀行統合プログラムの開発

     

    この案件は、A銀行のデータをB銀行のシステムへ取り込むための移行プログラムを開発するCOBOL案件でも一般的な仕事内容で、移行ツールを使用した移行プログラムとJCLを作成します。

     

    移行プログラムの詳細設計から製造/UT、結合テスト、総合テスト(データクレンジング)、そして移行作業までを含みます。

     

    必要なスキルはIBM COBOL、IMS、JCLで、銀行業務の経験が必要とされており、リーダー経験がある方はより待遇されます。

     

    想定年収:〜600万円

    稼働時間:140〜180時間

    契約形態:業務委託(フリーランス)

    勤務体系:常駐

     

    この案件を募集している企業はマザーズ上場企業で、案件が豊富にあるため、移行プロジェクト終了後もスライド先の案件が用意できる点が魅力です。

     

    COBOLからJavaへのマイグレーション開発

     

    この案件は、テスト実施後の障害調査、調査内容の報告、修正対応、独自FWを含む修正方針の作成を行う仕事で、主にJCLなどのバッチプログラムを扱います。

     

    必要なスキルはJavaとCOBOLで、Java言語での設計、開発経験、JavaEE開発経験、既存プログラムの障害解析経験が求められており、データベースはDB2を利用しています。

    他社が開発したプログラムを解析して、調査結果を報告できるリバースエンジニアリングの能力も必要とされています。

     

    想定年収:600〜780万円

    稼働時間:140〜180時間

    契約形態:業務委託(フリーランス)

    勤務体系:一部リモート可

     

    COBOL開発プロジェクトとしては珍しく一部リモートワークが可能な案件で年単位での長期参画が可能な案件です。

    また、汎用性の高いプログラミング言語であるJavaに携われることや、プロジェクト管理ツールにRedmineやGitを使っており、リソース管理が信頼できる点がメリットです。

     

    官公庁向けマイグレーション業務

     

    この案件は、某官公庁向けにCOBOLからJavaへのマイグレーションに伴う、ユーザー側のPMO業務で、ベンダーコントロールや調整業務、打合せ参加、議事録作成、スケジュール管理など、プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)としての経験が求められます。

     

    COBOLの知識はもちろん、エンドユーザーやシステムエンジニアとの間に立って、プロジェクト全体をコントロールできるコミュニケーション力が必要となります。

     

    想定年収:〜900万円

    稼働時間:140〜180時間

    契約形態:業務委託(フリーランス)

    勤務体系:フルリモート

     

    プロジェクトマネージャーを補佐するPMOとして活躍できるため、フリーランスではあまり経験ができない他のフリーランスと差別化できるキャリアを積むことができます。

    h2: COBOL開発のキャリアパス

    COBOL開発のキャリアパスとしては、大規模なプロジェクトを牽引できるプロジェクトリーダーやマネージャーを目指すことが一般的です。

     

    COBOL開発者のキャリアは初級、中級、上級の3つのステージに分けることができます。

     

    1. 初級開発者

     

    初級開発者として、COBOLの基本的な文法や構文を理解し、単純なプログラムを書くことができる能力が必要です。

    また、デバッグや、機能追加に伴う簡単なコードの修正が主な業務となります。

     

    2. 中級開発者

     

    中級のCOBOL開発者になるには、より複雑なプログラムを作成したり、中規模なプロジェクトに参加する能力が求められます。

    データベースとの連携、ファイル操作、エラー処理など、COBOLの高度な特性についての理解が必要です。

     

    また、プロジェクトライフサイクル全体にわたるプロジェクト管理の基礎を理解し、チーム内でのコミュニケーションやスケジュール管理のスキルも必要です。

     

    3. 上級開発者

     

    上級のCOBOL開発者になるためには、大規模なシステムの設計と開発、最適化、パフォーマンスの改善などに対する深い経験が必要です。

     

    プロジェクト管理、リーダーシップ、メンターシップのスキル、業務知識も求められます。

    また、COBOL以外のプログラミング言語や、COBOLが使用されるシステムのアーキテクチャについての知識も求められます。

     

    COBOLエンジニアとして、キャリアアップするためのリソースは多数あり、例えば認定資格であるIBM COBOL Basicsの取得や、Udemyなどオンラインの教育プラットフォームでは、COBOLの初級から上級までのコースが提供されています。

     

    歴史が長い分、COBOLの参考文献はインターネット上に数多くあるため、これらの学習リソースを活用すれば、これからCOBOLを学んで案件を獲得することも難しくはありません。

     

    COBOL開発のトレンドと将来展望

     

    COBOLはレガシーと呼ばれる歴史のあるプログラミング言語で、現在でも多くの企業システムで活躍していますが、その一方で、新しい技術の発展により、COBOLから他の言語への移行が進んでいます。

     

    しかし、COBOLを理解し、既存システムを保守・運用、または新システムへの移行を行うことができるエンジニアは、これからも引き続き需要があるため、新しい技術を学びつつもCOBOLを活かすことができるエンジニアは、高度な技術力と経験を持つ上級開発者として活躍するチャンスが広がるでしょう。

     

    まとめ

     

    COBOLは、長年にわたりビジネスシーンで活用されてきた堅実なプログラミング言語であり、その需要は旧来のシステムの保守・運用だけでなく、システムのリプレース案件などにも広がっています。

     

    新しい技術の登場と共に、COBOLから他の言語への移行が進んでいますが、その一方でCOBOLのスキルは今後も重要なものでありますので、COBOLと新しい技術を両立させることができるエンジニアは、大きな価値を持つでしょう。

     

    COBOLのフリーランス求人案件は、相場も高く、求人数も豊富ですので、これからも引き続きCOBOLスキルを活かし、そのキャリアを築いていくことが期待できます。

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